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丸ゴシック ナールについて、、、まとめ

ナールファミリーの魅力とは

  • 他のモダン丸ゴシック体の特徴と印象

ナールファミリーが持つ特徴を、他のモダンスタイルの丸ゴシック体と比較しながら見てみます。下図は書体の見本を概ね発表年順に並べました。(以下、ナールファミリーを「ナール」と総称、各書体のウェイト表記は省略。)

 

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こうして見てみると、モダンスタイルの丸ゴシックと言っても、各書体によって骨格や懐の取り方、字面率、画線の曲率(曲がり方)・誇張や省略の具合等が大きく異なり、それぞれが個性を発揮していることが分かります。
各書体から受ける筆者の印象を挙げてみます。

  • じゅんはまるっこくて字面は小さめ。懐も狭め。女性的ではなく子供っぽくてユーモラスな感じ。
  • シリウスはナールのように字面が大きく、字面いっぱいに画線が広がり、懐も広い。縦横線の太さが異なる。骨格は曲線を多用し柔らかい(ふにゃふにゃしている)印象。
  • アニトは直角の曲がりの内側がアール処理されておらずシャープな印象。懐は広く画線が字面いっぱいに広がりバランスが良く安定感がある。不自然な曲がり方もなく滑らか。
  • スーラはデザイン的な処理は控えめで文字本来の形が残る。字面の中で画線が偏っていたり伸ばし足りなかったりしているように感じるなど、やや目に引っ掛かりがある。文字から受ける印象は中庸。
  • DFP丸ゴシック体はナールの特徴を真似してはいるが、寄り引きの悪さ・字面の不揃い・骨格の不自然な曲がりなど、そもそも書体としての使い勝手が悪く、論外。
  • JTCウインはじゅんを現代的にした印象。懐を広くし、よりまるっこくなっている。じゅんよりおとなしい印象。
  • 新丸ゴは新ゴを踏襲したデザインだが、「か」の3画目など仮名の骨格の曲がり方が無理をしていて、武骨で硬い印象。
  • ヒラギノ丸ゴシック体はモダンスタイルというよりは“ニュースタイル”のような印象に近い。懐は狭めで、落ち着きがある。
  • モトヤマルベリは懐が狭めで、払いなどの曲率半径が大きく(曲がり方が浅く)、さっぱりしている。
  • イワタ丸ゴシック体はナールの影響を受けているように感じる骨格。重心が高く、骨格の曲がり方が突然だったり「に」などの撥ねから次の画へ繋がる感じがなかったりして、ざっくばらんな印象。

このように、書体それぞれに特徴があって受ける印象が異なります。
これらを踏まえてナールを見てみると、特に洗練された設計で、最も美しいと筆者は感じています。その理由を探ってみます。

  • ナールはなぜ美しいか

先に挙げたモダンスタイルの丸ゴシック体の中でも、ナールはデザイン的な処理が強く、骨格に特徴がありますが、そうでありながら違和感のあるような形状ではなく、最もバランスが良く安定しているように感じます。それは次に挙げる事によると筆者は考えます。

  • 曲線の曲がり具合が他のモダンスタイル丸ゴシック体よりも自然で目に引っ掛からない

ナールはデザイン処理を優先させた骨格ゆえ、その曲がり方に統一感があります(石井賞応募のラフの項目で述べた“文字から次の文字への運筆の流れ”)。かつ手描きで制作されたため、無理な曲がり方は自ずと排除されている(手で描けないような曲線を書体上に表現することはできない)と考えられます。これらが、人間の感覚にとって自然な曲線として書体に現れているのではないかと考察します。

  • 骨格が伸びやかで抑制されている感じがしない

 ナールは詰め組み不要な書体を目指して設計されました。この目的を達成するため、字面が正方形いっぱいになるように文字がデザインされ、懐を広くし、時には画線を大胆に省略し、エレメントを大きく長くしています。
正方形の字面を画線で埋める為には、縦横線は勿論のこと、左右の払いや点、撥ね、カーブもできるだけ長い軌跡を描くことになります。更に、必要があれば画線や出っ張り(「ク」など)を省略しています。これらのことが骨格の伸びやかさに繋がっているのではないかと考察します。
「字面が画線で四角く埋め尽くされている」と認識させるには、画線を適切に配置することが必要なため、副次的にバランスの良さや安定感ももたらされているのではないかと考えられます。

  • 節度のある上品なデザイン

ナールは、これまで述べてきたようにエレメントの構造や骨格の曲がり具合、画線の配置、丸みの先端の処理といった様々な面に於いて、中村征宏氏の経験に裏打ちされた美意識に基づいて長い時間をかけて検討され、ようやく完成した書体であると言えます。
 出来上がった書体はディスプレイ書体としての特徴を充分に備えながらも、機能を実現させる必要があったために奇を衒ったり無理をさせたりはしませんでした。明るくて現代的ではあるが、決してふざけてはいない。これがナールの節度であり、気品であると考えます。

 改めてナールと他書体とを比較したとき、ナールの美しさをより深く感じることができることと思います。
 他書体があるから相対的にナールがどうかということではなく、ナールがモダンスタイルの丸ゴシック体としての機能美を体現していると言える根拠があり、これほどにも説明できるということです。
 ナールは今でも色褪せることなくモダンスタイルの丸ゴシック体の規範としてその存在を示し続けています。道を歩けばナールに会えるけれども、よく見えるのに必要以上に主張しない。そんな奥ゆかしさもナールの魅力だと思っています。

●ファミリー

 ●は手動写植機専用書体です
 ▲は電算写植機専用書体です 

  • 以下モリサワのHPより転載。フォントの懐について、、、

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